障害者雇用に係る水増し問題に関する報告書が公表されました。

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こんばんは。

五黄土星のミカエルです。

以前の投稿におきまして、障害者雇用における水増し問題を取り上げさせていただいておりましたところ、本日、平成30年10月22日(月曜日)付で、標記のとおり、「国の行政機関における障害者雇用に係る事案に関する検証委員会」(以下、「検証委員会」と表記致します。)より、報告書が公表されました。

尚、以前の投稿につきましては、下記を御参照いただければ、と思います。すなわち、

  1. 障害者雇用に係る水増し問題について。
  2. 【途中経過】障害者雇用に係る水増し問題について。

今回は、この件につきまして、まとめてみたいと思います。

調査の結果

概要(全部で3,700名分!)

ここでは、誠に勝手ながら、筆者自身の関心を重視させていただいて、検証委員会が各行政機関に対して行なわれました調査の結果に則して、記載させていただきます。悪しからず御了承いただければ、と思っております(因みに、ということですが、検証委員会が厚生労働省(職業安定局)に対して行なわれました調査の結果は、報告書25-37ページに記載されております。)。

それによりますと、各行政機関における実雇用率としましては、「平成30年再点検後は、法定雇用率を超えたのは6機関にとどまった」(報告書38ページ)とのことです。また、対象障害者につきましては、「全部で3,700名分の回答があ」(同上)った旨、報告されております。

尚、実雇用率の件ですが、報告書によりますと、「平成29年通報時において、各行政機関の実雇用率は、ほとんどの機関で法定雇用率(2.3%)を超えていた」(同上)そうで、たった1年で、ほぼ真逆のような結果となっており、このような統計上の数値、あるいは、それらが記載された資料を読み取り、理解することの難しさを改めて思い知らされました。

内訳

また、報告書におきましては、対象障害者の内訳も明記されておりまして、下記のとおりであったようです(報告書38ページ)。すなわち、

  1. 身体障害者:3,390名
  2. 精神障害者:   308名
  3. 知的障害者:       2名

尚、身体障害者につきましては、障害ごとの内訳も報告されております(報告書38-39ページ)。すなわち、

  1. 内部機能障害として計上されていた者             :1,600名
  2. 視覚障害として計上されていた者               :   827名
  3. 肢体不自由として計上されていた者              :   590名
  4. 聴覚又は平衡機能障害として計上されていた者         :   349名
  5. 音声機能、言語機能又はそしゃく機能障害として計上されていた者:     24名

加えて、行政機関別の内訳も報告されております(報告書43-45ページ)。御参考までに、不適切計上者数が100名を超えていた行政機関をリストアップさせていただきます。すなわち、

  1. 国税庁  :1,103名
  2. 国土交通省:   629名
  3. 法務省  :   512名
  4. 防衛省  :   332名
  5. 農林水産省:   219名
  6. 財務省  :   184名
  7. 外務省  :   146名
  8. 経済産業省:   105名

このようにリストアップしてみますと、障害者雇用に係る水増しは、長年にわたり、本当に広範に行なわれていた様子を窺い知ることができるようです。

不適切な行為の原因

厚生労働省(職業安定局)の対応の問題について

この点、検証委員会は、5つの原因を挙げておられます(報告書53-59ページ)。すなわち、

  1. 国の行政機関における障害者雇用の実態に対する関心の低さ
  2. 平成17年のガイドライン発出時における対応の問題
  3. 毎年の通報依頼発出時における対応の問題
  4. 確認資料の保存および引継ぎにおける指導の欠如
  5. 平成26年の事案発生時における対応の問題(この問題は、「厚生労働省の所管する独立行政法人において、障害者雇用状況の虚偽報告事案が発生した」(報告書59ページ)際のことを指します。)

尚、検証委員会は、1.の「関心の低さ」をもって、障害者雇用に係る水増し問題における「根本的な問題」(報告書53ページ)とされておりますところ、筆者は、上記5つの原因につきまして、並列的なものでなく、1.の「関心の低さ」そのものが2.から5.のさらなる原因になった、という関係にあるものと理解させていただきました(但し、報告書の中では、直接的には言及されておりませんので、異論は認めます・・・(汗)。)。

因みに、身体障害者の範囲につきまして、原則として身体障害者手帳、例外として指定医等による診断書等による確認によるものとされているそうですが、検証委員会は、このようなルールにつきまして、「国の行政機関全般に対して、十分に周知していたかについては、これを裏付ける明確な資料等は見当たらなかった」(報告書54ページ)とされ、これを1.の「関心の低さ」の中で明示されているところから、筆者は、上述のような理解をさせていただいた次第です。

そして、筆者は、そこに横たわる問題としまして、「当事者意識の欠如」と(いわゆる)「お役所仕事」(筆者の中では、良きに計らえ、といったイメージです・・・。)の2点があるように受け止めさせていただきました(あくまでも個人的な受け止め方です・・・。)。とりわけ、「お役所仕事」につきましては、例えば、「3.毎年の通報依頼発出時における対応の問題」の中で、報告書に「何の具体的な記載もしていない不明確な内容の通知を発出し続けた」(報告書57ページ)とあるところにも垣間見えるように認識させていただいております。

各行政機関の対応の問題について

この点、検証委員会は、3つの原因を挙げておられます(報告書60-68ページ)。すなわち、

  1. 対象障害者の計上方法についての正しい理解の欠如
  2. 対象障害者の杜撰な計上について
  3. 法の理念に対する意識の低さ

尚、検証委員会は、1.及び2.の背景としまして、3.の「法の理念に対する意識の低さが根本にある」旨、指摘されております(報告書58ページ)。筆者は、この指摘につきまして、実は、ものすごい警告なのではないか、という危惧を抱きました。と言いますのも、今回、障害者雇用に係る水増し問題に焦点が当てられておりますが、それ以外の様々な公務におきましても、同様に「法の理念に対する意識の低さ」が潜在している可能性を否定できないのではないか、とも思われるからです。安倍総理をリーダーと致します現在の政権におかれましては、今回の報告書を契機として、今一度、他にも類似の事象が存在しないかどうか、改めて検証の機会を設けていただきたいと希望致します。

また、こちらは、報告書に直接的な言及がございませんが、その背景として横たわる検証委員会の判断としまして、筆者は、障害者雇用に係る水増しを行なった行政機関の中に「国が行なうことは許される」といった驕り、不遜な思い上がり等があった、といったように受け止めさせていただきました。因みに、そのことが垣間見える記述としまして、筆者は、下記のようなものがあるように認識させていただいております。すなわち、

  1. 「身体障害者の範囲を、手帳等以外の資料によっても確認することが許容されていると理解したり」(報告書61ページ)
  2. 「対象障害者の正しい範囲の計上方法等の理解に努める姿勢に欠け、その確認を怠り、障害者の範囲や確認方法を恣意的に解釈」(報告書62ページ)
  3. 「安易な前例踏襲の下、ルールに沿わない恣意的な独自の実務慣行が引き継がれてきた」(報告書63ページ)

もし、国の行政機関の中に、そのような驕り、不遜な思い上がり等があるとしましたら、極めて由々しきことであるようにも考えます。過日、別の報道で、財務省におきまして、組織改革に係る中間報告が行なわれ、新たな人事評価制度の導入等が盛り込まれた旨、拝見させていただいておりますところ、そのような小手先の対応で解決することができる段階ではないものと認識させていただいております。

この点、これまでに何度かお伝えさせていただいておりますとおり、筆者自身は、陰ながら、自由民主党を応援させていただいておりますが、自由民主党とともに、そのリーダーでもいらっしゃる安倍総理におかれましても、本当の意味での危機意識を共有していただき、国民目線で真摯に取り組んでいただければ、と願っております。

まとめ

以上、今回、公表されました検証委員会による報告書につきまして、筆者なりの考えを記載させていただきました。

表面に現れている問題とは裏腹に、日本という国家の奥深くに、想像を絶する程に強力に、また、それだけに解決することも極めて困難な問題が横たわっていることが判明したようにも理解させていただいております。

今回の報告書につきましては、その読み方、受け止め方等は、正に人それぞれでありましょうが、筆者のような問題意識の持ち方もあり得ることを御理解いただければ、と思います。その上で、各々の人の思いに即しつつ、あるいは、それぞれの目線から御覧いただくだけでも、全く差し支えございませんので、これからの政府の対応、ないし、政治家の言動等にも、引き続き、御留意いただければ、とも思っております。

筆者自身、障害者雇用に係る水増し問題につきましては、今回の報告書で終わった、という認識に至っておりません。また、「一億総活躍社会」、「全世代型社会保障」等、安倍総理が提起されている政策につきましても、上述のような問題意識に対し、第三者の目線からも真剣である、と評価されるような取り組みを実行することができなければ、正に「絵に描いた餅」でしかなく、決して社会に受け入れられるものにはならない、と考えており、そのような観点を忘れることなく、身体障害者の一人として、これからも障害者雇用を巡る様々な動向を注視して参ります。

では、また。

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